本年は竹久夢二生誕120周年を迎えます。画家・詩人であるデザイナーでもあった夢二は、49年の生涯の中で美術学校や師に学ぶことなく独自の世界を確立し、その少女的な叙情表現は夢二様式として語り継がれています。
夢二は女性を多く描きました。しかしそれは幸福に満ちている姿ではなく、どこか哀愁が漂っています。姉の松香の存在、何人かの女性との恋愛は、その作品に影響をあたえ、夢二が生きた大正の時代背景と相まって、大衆に受け入れられる芸術作品を生み出しました。
今展では軸装作品20点を含む52点の肉筆画、浮世を意識し「大正の歌麿」とまでいわれた夢二の版画、絵草紙店「港屋」で好評を博した夢二のデザイン画、愛を込め希望を託し描いた「コドモノクニ」などの絵本、「セノオ楽譜」「婦人グラフ」などの装画(表紙を装う絵)・挿絵など計280点をとおして夢二が伝える大正ロマンの世界をご鑑賞いただきます。