西南戦争(明治10年/1877)の2年後、田﨑草雲(たざきそううん)(1815-1898)は«富士見西郷図(ふじみさいごうず)屏風»を描きました。ナポレオンを思わせる西郷隆盛が、血しぶきと銃弾が飛び交うなか、馬上で毅然(きぜん)と指揮をとる姿があります。鬼気迫る西郷の視線の先には、悠然とたたずむ富士が描かれています。動と静を描き分けた画面には、明治維新という激動の時代を西郷とともに駆け抜けた草雲の思いが重なります。
本展は「草雲と門人」の第2弾として、「人物図のリアル」を草雲と門人たちの作品約20点で紹介するものです。草雲の字が問う、門人が描いた草雲の肖像画、鍾馗(しょうき)図、やまと絵などをとおして、一門の人物画に込めた「リアル」を探ります。
阿部茶邨(あべちゃそん)、相場古雲(あいばこうん)、古川竹雲(ふるかわちくうん)たち草雲一門の初公開作品をお楽しみください。