竹久夢二(1884-1934)は大正浪漫を代表する詩人画家であり、デザイナーとして先駆的な役割を果たしたことも注目されています。1914(大正3)年に東京の日本橋に開いた港屋絵草紙店には夢二がデザインした封筒や千代紙、木版画などが並び人気を集めます。夢二のデザインは雑貨だけでなく着物など日用品全般に見られ、人々の生活とともにありました。明治以降、異国からもたらされた絵画やデザインに関心を寄せていた夢二はそれらと日本の伝統文様とを融合し唯一無二のロマンティックなデザインを展開したのです。
本展では夢二のスクラップブックから夢二デザインのイメージソースを辿るとともに、夢二式美人に応用された夢二デザインの形もご紹介します。また、夢二がアールヌーヴォーから影響を受けた作品の一つでこのたび当館新収蔵となった《千代紙「きのこ」》を初公開。令和の私達が見ても胸高鳴る大正浪漫のデザインの数々をお楽しみください。