現在の三重県伊賀市に生まれ、陶磁器デザインの先駆者として知られる日根野作三(ひねの さくぞう、1907-1984 年)。東京高等工芸学校に学んだ後、山茶(つばき)窯、国立陶磁器試験所でデザイナーとしての才能を開花させました。戦後に独立すると、伊賀を拠点として、愛知、岐阜、三重、滋賀などの陶業地を巡り、デザインの指導と普及に努めます。
ものづくりの機械化、量産化が進む戦後の時代において、日根野が力を入れたのは、手作りを主とした、近代的な感覚を持つ生活用具「クラフト」でした。日根野は作り手が得意とする技術や個性、地域それぞれの多様性を活かした、人間味あるデザインを説
いています。
本展は、各地に残される作品資料約 180 点から日根野作三の生涯をたどる、過去最大規模の回顧展です。今もなお色あせない日根野作三のデザインの魅力を、ぜひお楽しみください。