19世紀英国の偉大な芸術家ウィリアム・モリス(1834-1896年)は思想家として、また詩人としても多くの業績を残しましたが、特にデザイナーとしての彼の才能は卓越しており、その評価は近代デザインの創始者として近年ますます高まっています。モリスの思想と作品に啓発されて起こった工芸の改革運動「アーツ・アンド・クラフツ運動」は後にヨーロッパやアメリカに引き継がれ日本を含め世界近代デザインの発展に大きな影響を及ぼしました。
本展はモリスの才能が最も発揮されたデザイナーとしての仕事を中心に、彼が提唱した英国でのアーツ・アンド・クラフツ運動の流れを総合的に紹介する日本でもはじめての試みです。初期から円熟期、モリス商会の仲間達、1888年のアーツ・アンド・クラフツ展での出品作家など、英国での運動の広がりを多角的に紹介。出品内容は、テキスタイル(原画や版木を含む)、壁紙、絨毯など、モリスの作品を中心として、ステンドグラス、家具、タイルと陶器、をはじめ、A・ノックスの銀器、バーン=ジョーンズやC・R・アシュビーの宝飾品、C・F・A・ヴォイジー、W・クレインの作品など約140点を一堂に展観。