オノ・ヨーコは1933年に東京に生まれました。銀行家の家系出身の母とピアニストの父の間に生まれ、裕福で教養豊かな家庭で育ったオノは、日本とアメリカを行き来しながら育ち、1952年ニューヨークに移り住み大学に入学し、初め音楽や詩を学びました。古典的な芸術の訓練に飽き足らなかったオノは、やがて前衛的な芸術運動集団フルクサスに参加し、独自の芸術活動を始めます。日常的な事物や偶然の出来事に美と芸術を見出すオノの活動は、国際的な芸術家集団であったフルクサスのなかでも東洋的な感性を示すものとして評価されます。詩や音楽や視覚芸術、映画やパフォーマンスなどといった多様なメディアによる作品を発表したオノは、1962年から1964年の間は一時帰国し、東京で日本の前衛芸術家たちとともに活動し、再びニューヨークへ移り、1966年に渡英したときにレノンと出会います。1969年にレノンと結婚以降、前衛芸術家オノと、ロック・スターのレノンは、お互いを認め合いながら、音楽作品や《ベッド・イン》といったパフォーマンスなどで、数々の共同制作を行いました。レノンの没後も、オノは意欲的に活動を続け、さまざまな媒体や場所において作品を発表しています。
本展は、初期のインストラクション絵画や繊細なオブジェ、近年の巨大なインスタレーションや映像作品まで約130点もの作品を展示して、初期から現在までの、オノ・ヨーコの多彩な活動の全軌跡を追う、初の大規模な回顧展です。