小嶋千鶴子(1916~2022)は三重県四日市市に、江戸時代から続く岡田屋呉服店の五人きょうだいの次女として生まれました。しかし父母が早くに他界したため、千鶴子は一家の中心となって家業を担うこととなりました。その後23歳で株式会社岡田屋呉服店代表取締役に就任し、岡田屋からジャスコ(現・イオン株式会社)を立ち上げ、役員として社員教育や人事を担当しました。
そして経営から引退した後、70代から独学で陶芸を始め、一日の大半を自宅のアトリエで作陶にいそしみました。当初の制作目標であった3,000点を達成したのは、12年後の82歳のことでした。
また2003年3月には、20代のころから約60年にわたって収集した美術品を収蔵展示する施設として、三重県菰野町大羽根園にパラミタミュージァムを開設しました。その後三重県で文化助成活動を行う公益財団法人岡田文化財団に施設と収蔵作品を寄贈して、パラミタミュージアム名誉館長となりました。
本展では器、陶人形など、様々な表現に挑戦した小嶋千鶴子の作陶の軌跡をふりかえります。