TARO NASUでは5月20日より、グループ展「Sculpting the Space」を開催いたします。
言語を媒介とした作品でしられるローレンス・ウィナーはしばしば、壁面に賦彩された自身のテキスト作品について「my sculpture」と言及していた。ウィナーにとって、壁や床など展示空間の構造体に直接描かれたテキスト作品は、ペインティングよりもさらに三次元性を有するもの、すなわち「sculpture(彫刻)」だったのである。展示空間を読み解き、色と形で構成された文字を付与することで、空間のもつ意味や機能に変化を生じさせ、鑑賞者の理性と感性に同時に働きかけようとするその試みはウィナーにとって、まさに空間を「彫刻」することだったのである。
今回の展覧会では、ウィナーが好んだこの、アートと鑑賞者との間の一種の共犯関係を前提とする体験に関心を寄せ続けているアーティストの作品を展示する。ウィナーとほぼ同時代を生きているハイム・スタインバッハやジョン・ナイト、彼らからの直接的影響を受けたリアム・ギリック、そしてコンセプチュアルアートの新しい模索を始めた世代の一人としてのライアン・ガンダーの作品を集め、テキスト作品のもつ独特の緊張感あふれる魅力を紹介する。