佐久市立近代美術館が2000年から2022年の間に収蔵した作品の中から、1960年以降に生まれた作家が2000年から現在にかけて制作した現代美術作品を紹介します。
1960年代は、日本の「美術」あるいは「芸術」という概念そのものが大きく変化した時代でした。この頃、芸術至上主義に代表される既成の形式を覆そうとする「反芸術」とよばれる前衛芸術が台頭し、視覚芸術の分野では形象やイメージを排した「抽象表現主義」が大流行しました。これらの動向は作家たちに大きな影響を与え、その後、多様な表現形式が生まれていきます。
本展で紹介する1960年以降に生まれた作家たちは、いわば、生まれながらにして「何事も表現となりうる自由」の下に育った世代といえるでしょう。本展は日本現代美術を展望するものではありませんが、これからの時代を担う彼らが、2000年以降の現代において何をみつめていたのかをコレクションを通して考えます。