西村画廊では、2023年5月25日(木)から6月3日(土)まで、舟越桂の新作展「書庫の中を飛ぶ」を開催いたします。
1951年岩手県に生まれた舟越桂は、1980年代から一貫して木彫彩色の半身像に大理石の目を嵌め込む手法で表現を続けており、日本で最も重要な彫刻家の一人として国内外で高い評価を受けています。
初期の素朴な着衣像から、妖精や野獣のような形貌、山の体躯、一体化した二人の人物、肩や背中に現れる手、半人半獣・雌雄同体のスフィンクス、教会から生える裸像、そして最新作《書庫の中を飛ぶ》(2023)にも見られる、木々や書物や教会を頭上に有する近作に至るまで、舟越は人間とは何かを真摯に模索し続け、変遷を繰り返す作品によって、その存在を肯定しようとしてきました。それらの彫像には、颯爽としていながらも孤愁を秘めた内省的な佇まい、繊細な知性を滲ませる凛とした眼差しなど、舟越特有の静謐な造形美は通底しつつも、善性や獣性など人間の抱える多面性が様々に表れており、汲めども尽きぬ泉のように観者を魅了します。
本展では、アートフェア東京2023で発表し、国外のコレクションとなった上記最新作(書庫の中を飛ぶ)を新作ドローイング10点と共に披露いたします。
皆様のご来廊を心よりお待ちしております。