主に鉛筆を用いて、襞(ひだ)が特徴的な山や波、雲といった原初的な風景を想起させる絵画を制作している、妻木良三(1974-)の近年の作品を紹介する展覧会を開催します。
妻木は和歌山県湯浅町に生まれ、武蔵野美術大学造形学部油絵学科在学中の1998(平成10)年から、鉛筆を用いた絵画制作をはじめ、2001(平成13)年に同大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを終了しました。その後、東京で作家として活動した後、2008(平成20)年に帰郷し、自坊の本勝寺で僧職を務めながら創作を重ねています。
本展覧会では妻木の絵画作品のほか、会場に合わせて制作する布のインスタレーションを併せて公開します。絵画とその着想のもとである布の構成によって、熊野古道なかへち美術館の展示室が、妻木の作品の主眼となっている、襞の増殖が空間を侵食してゆくイメージの現出する場になることを目指します。