ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(1759~1840年)はベルギー生まれの植物画家で、フランスを中心に活躍しました。ルドゥーテは18世紀後半にフランスの王妃マリー・アントワネットから「博物蒐集室付画家」に任命され、宮廷画家として多くの植物画を描きました。その後、フランス革命という激動の時代を越えてルドゥーテの作品は愛され続け、革命後のルドゥーテはナポレオン皇妃ジョゼフィーヌのもとでも宮廷画家に任命されます。
彼の作品の大きな特徴は植物の精緻な描写です。銅板に点を刻む「点刻彫版」という高度な多色刷り銅版画の手法、そして手彩色によって花びらの柔らかな質感や葉脈などの細部までもが正確に表現されています。
本展ではルドゥーテの代表作『バラ図譜(Les Roses)』(1817~24年刊行)に収録される版画全点に加えて、2点の肉筆画を紹介します。およそ170点の精緻なバラの作品をお楽しみください。