フランスで美術を学んだ久米桂一郎は、黒田清輝らとともに本格的な西洋美術を明治の日本に導入しようと尽力しました。芸術面で西洋流を実践したのみならず、容貌も相まって外国人と間違えられたり、父・久米邦武(歴史家)に「半西洋人」と評されたりと、そのライフスタイルは若くしてフランスで身につけたセンスを強く感じさせるものでした。
ところが晩年の彼は日本美術の蒐集を最大のたのしみとするようになり、毎週のように売立会に通ったといわれています。古画から狩野派、浮世絵、文人画、中国絵画と幅広くあつめながら、共通してどこかに気品高い画趣を感じさせる本コレクションより、季節の優品を中心にご紹介いたします。