古来より、酒は人の営みの中で重要な役割を担ってきました。祭祀において神に捧げるものとして、あるいは非日常的な世界に入り込み、神と交信する手立てとして、人とともに長い歴史を歩んでいます。現代の私たちにとっても、儀式や神聖な場において酒は欠くことのできないものです。また、人と人とを繋ぐ媒介として、酒が果たしてきた役割については言うまでもありません。
本展では、酒にまつわる道具といわれる出土品から、酒処福島に伝来する品々、酒販に欠かせないポスターや包装紙などのグラフィック作品を通じて、人々が酒とともに築いてきた歴史の一端を振り返ります。また、日本では陶磁器やガラス器が舶来して以降、それらに憧れて多様な美しい酒器が生まれました。酒が醸す美意識の結晶ともいえる、古今東西のさまざまな酒器を展示します。酒が育んだ味わい深く豊かな美の世界をどうぞご覧ください。