BLUEPRINT
ブループリントとは「設計図」を意味する英語で、青図(あおず)とも呼ばれる図面の一種である。濃い青色の地に、文字や線が白抜きで複写される技法、及びそれによって得られた印刷物を指し、 日光写真の技術を応用した物で、光の明暗が図の濃淡に対応する。かつて建築や機械設計の図面の多くはトレーシングペーパーに作図されてジアゾ式複写機で複写されたが、複写されたものが青色だったことに由来する。
今回の個展に出品しているいくつかの作品、また過去作品でも、私はこの単語を使って探した資料から、モチーフの骨格や骨組みを確認して構想を練ることが多い。例えば零戦の設計図をもとに描いた「Zero」や、「Olympia」のスタジアム、「Enola Gay」のコックピット、「Dome」の天蓋など…。頭上を覆う構造を可視化したいという欲求が、制作に向かう動機のひとつとして頭にある。
今、私たちの頭上を覆っている空はどんな形をしているのか。米韓軍事演習に端を発した、北朝鮮の飛翔体発射、Jアラートの発令、弱者へのヘイト、軍事大国化への選択。飛翔体か電波かサイレンか、レーダーかドローンか、衛星か核弾頭か、そう称される何かが、軌道を描きながら私たちの頭上を行き交っていて、そこに描かれた構造から、私たちは抜け出すことはできないのだろうか。
本展に出品する作品たちは、上記のような漠然とした不安を解剖するような手つきと、自身の軍事に関わる物事への興味によって制作した新作たちである。
(李晶玉)