公益財団法人ひろしま美術館は、印象派を中心としたフランス近代美術の優れたコレクションとともに、印象派以降の西洋美術から学んだ日本の近代洋画の秀作を多数所蔵しています。日本の近代洋画は、西洋から本格的に油彩画の技術が導入された明治に始まり、大正、昭和と時代が進むなかで、西洋の模倣ではない日本独自の表現を求めて多様な展開をみせました。本展では、ひろしま美術館の珠玉のコレクションから、初期の洋画界を牽引した浅井忠や黒田清輝、明治浪漫主義を代表する青木繁や藤島武二、大正期に無二の個性を放った岸田劉生、昭和期に黄金時代を築いた安井曾太郎と梅原龍三郎、異国を描いた佐伯祐三や、社会や人間の暗部と対峙した鴨居玲など、日本の近代洋画史を彩る69人の作家による80点の絵画をご紹介します。また、あわせて当館の所蔵品から曾山幸彦、有島生馬、海老原喜之助、山口長男など、鹿児島ゆかりの作家の洋画約10点を展示します。巨匠たちの名画を通じて、明治から昭和にかけて約100年の近代洋画の潮流を一望するとともに、鹿児島ゆかりの作家たちの足跡を振り返る機会となりましたら幸いです。