「アーティスト・プロジェクト#2.0」は、現在活躍中のアーティストを紹介する展示プログラムです。2023年度は、彫刻家の永井天陽を迎えます。
永井は、ものや出来事へのささやかな疑いを出発点として、人が無意識に抱く感覚や認識への問いをテーマに制作してきました。アクリル材や剥製、既製品など、異なる素材を重ね合わせた彫刻作品は、内と外が主張し合いながら一体化し、多重の認識を引き起こします。鑑賞者の視線の先で、表層とかたち、輪郭の関係は揺らぎ、日常的なものが姿を変えて立ち現れてきます。それは世界を「遠回り」で見ることにほかなりません。
本展覧会は、「metaraction」シリーズの新作を中心に、工業的な技術や複数の素材を用いた作品を交えて構成します。また、センターホールでは「urnto」シリーズのインスタレーションを発表します。「内でもなく、外でもない」建築コンセプトをもつ埼玉県立近代美術館の空間と、内外の境界が折り重なる永井の作品との出会いは、どんな景色を見せてくれるでしょうか。