華鴒大塚美術館では、令和3(2021)年4月に、「茶の湯事始-利休と織部-展」を開催しました。展覧会は小規模ではありましたが、近年紹介された、史料に基づいた、茶の湯の成立と展開についての、新たな見解を取り込んだ会場構成を、心掛けました。
今回は、第二弾として、利休没後の茶の湯世界を牽引した古田織部を取り上げます。織部は、利休自身が、個々人の創意工夫による新しい茶の湯の世界を認める中で、強い影響を受けながらも、時代相を組み込み、明るく斬新は茶の湯の世界を構築しました。
また、秀吉・家康(秀忠)らの天下人に仕え、新たな武家茶の世界を再構築するなど、日本文化史上最も光輝いた桃山・慶長の文化に大きな影響を与え、織部が生み出したとされる陶磁器などの茶道具の様式は現代社会でも大きな支持を得ています。
本展では、こうした理解に立ちながらも、もう一度確かな織部茶会の記録に基づき、織部の功績を検証してみたいと思います。皆さまが思い描かれるものとは異なる状況が出来するかもしれませんが、より自由にこれからの茶の湯に親しみたいとお考えの方々に、ささやかなひと時を提供したいと考えています。