江戸時代中期ごろより、画譜(がふ)の舶載(はくさい)や黄檗僧(おうばくそう)の来日などによって、中国の明・清時代に隆盛した文人文化が日本に伝わってきます。中国の文人とは、身分的には高級官僚であり、治国・修身のための幅広い知識を持ち、詩書画に優れることが理想とされました。日本においては幅広い身分の人々が文人文化に関心を持ち、中国の学問・教養を深く学び、詩書画の創作を楽しみ、文人的な生き方を目指しました。武士や町人、農民といった身分を変えた文雅な交流は日本の文人文化の特徴であり、関心や志を同じくする人の輪―文人サークル―が豊かに重なり合いながら発展しました。
本展観では、柳原淇園(やなぎさわきえん)・鶴亭(かくてい)たち、与謝蕪村(よさぶそん)・呉春(ごしゅん)たち、岡田半江(おかだはんこう)・田能村竹田(たのむらちくでん)たちなど、主に西の文人サークルに注目し、初公開の鶴亭作品をはじめ、交流が育んだ清新な絵画作品を展示します。(担当 宮崎もも)