岡倉天心(覚三)の英文著作『東洋の理想』(OKAKURA Kakuzo“The Ideals of the East”)が明治36年(1903)に出版されてから、120年が経ちました。「アジアはひとつなり/Asia is One」という有名な一節で始まる本書の中で天心は、アジアの宗教的・文化的一体性というイメージを提示した上で、特に日本美術史に関して主に中国とインドからの影響関係について論じています。
天心が日本美術の源流をアジアに求めたのと同じように、横山大観を筆頭とする日本美術院の画家たちも、アジアを主題とした作品を数多く制作しました。画家たちは、広くアジアに目を向けることで、日本画の在り方を模索していきました。
本展では、茨城県近代美術館の所蔵作品を中心に、中国の故事や仏教説話に取材した作品、画家が実際にアジアを旅し、現地での体験をもとに描いた作品、また、現代の画家による仏教をテーマに描いた作品など、広くアジアを主題に描いた近現代の日本画を紹介します。