「光を刷りこむ」
今年で20回目を迎える「いきづく空間」。
2004年の第1回目「いきづく空間」に寄せて、大舩光洋は「ぼんやり膜がかかった」、近松素子は「ふと消えてしまう」、長谷川睦は「気配」と言う言葉をコメントに使っていました。3作家共に今より静かな作品でした。
この20年で、大舩は、儚いイメージから、一旦明快な画面になり、近年は優しい色使いが増えてきました。近松は、モノトーンに近い画面から、饒舌な画面になり、タイトルも物語性を持たせるようになりました。長谷川は、大胆な版使いも一層迫力を増し、濃い色彩を重ねたり、ドローイングを加えたりとより強い画面になってきました。
今回のサブタイトルは「光を刷りこむ」。
2006年以降、毎回私からサブタイトルと言う形で宿題を出させて頂いているのですが(2011年の「未完の成」はテキスト執筆の奥村泰彦氏による)、今回は3作家と一緒に考えました。
何故、版を使っているのか?と面と向かって尋ねたことはありませんが、毎回色々なアプローチで答えを見せてくれていると理解しています。
柔らかな光、大らかな光、熱い光、どの様な光を見せてくれるのか期待が高まります。
確かな技術力、豊かな想像力だけではなく、心をも作品に込める3人を推し続けたいと思います。
ギャラリー白 吉澤敬子