内藤定壽教授は、1994年に筑波大学芸術系講師として着任後(2000年に助教授、2007年に准教授、2009年に教授)、約29年の長期にわたり、洋画領域における後進の育成にご尽力されました。先生は優しさにあふれ、丁寧なご指導によって学生の長所をひき出し、数多くの教え子たちから慕われてきました。アクリル絵具と油絵具の併用による複合的技法をもとに、独自の技法で制作した絵画表現は、やわらかく繊細な感性と活力にあふれ、観る者を圧倒します。身の回りにある一見ありふれたものが、先生のユニークな発想と卓越した描写力によって、絵画空間の中で新たな生を得て存在感を増しているかのようです。近年の自画像を配した絵画作品は、ご自身のお人柄を醸し出しているようであり、また、まさに自己を超克しようとするご自身のお姿でもあるのではないかと思われます。
2023年2月 筑波大学芸術系洋画教員