現代日本画壇を牽引する作家である西田俊英は、湿潤な日本の風土やヨーロッパの街並みを捉えた風景画、現代的な新たな花鳥画、インド留学が転換期となり描きはじめた人物画など様々な題材に果敢に挑戦し続けています。確固たる技法に裏付けられた幻想的な空間表現。日本画の精神性を重んじ、崇高な物語の漂う、新しい表現を追求しています。
完成すれば縦2.05メートル、全長70メートルに達する巨大日本画《不死鳥》。人間と自然の森との共生、尽きることのない生命の循環の物語を紡ぐため、西田は2022年から1年間屋久島に移住し、日々山にわけいって写生を繰り返しました。本展では、この前人未到ともいえる作品を核に、西田の原点となる少年時代の作品から、インド留学を経て、森羅万象を神とする日本人の心で、風景や動物、人物や花を愛情深く精緻な筆致で描いてきた27点の作品を通し、50年におよぶ画業の軌跡を追います。