公益財団法人常陽藝文センターでは郷土作家展シリーズ第285回として、「My Ceramic Journey 額賀章夫展」を開催いたします。
笠間市在住の陶芸家・額賀章夫さんは、東京造形大学でテキスタイルデザインを学んだのち、ものを作ること、手を動かすことを仕事にしたいとロクロ職人を志し茨城県窯業指導所と向山窯で学びました。さまざまな技法を試行錯誤しながら食器類を作っているうちに、目利きの店主で知られた東京の美術商「魯山」に取り上げられて一躍注目を集めます。シンプルで骨董のような趣のある額賀さんの作品は、生活から離れた存在になっていた工芸を取り戻そうとする(のちに「生活工芸」「クラフト」と呼ばれる)運動の中で、人気を博しました。
さらに2006年にアメリカの陶芸ブランドであるヒースセラミックスのディレクターに見いだされて、以後活躍の場が海外のマーケットに広がります。額賀さんの作品はインテリアの一部としてのデザイン性の高さと、笠間焼の技法を用いた手工芸ならではの温かみで国内外の多くのコレクターに愛されています。激しく変化する海外マーケットに対応していく柔軟性と、作家の個性の両立は、現代陶芸家の在り方として一つのモデルといえるでしょう。
洋服のプリーツにヒントを得た「プリーツワークシリーズ」は、伝統技法の鎬(しのぎ)を用いて大胆に膨らませたりくびれさせたりして器の形を強調した代表的なシリーズです。さらに近年では古代遺跡の柱を思わせる筒形のオブジェや鮮やかな彩色やボーダー柄を取り入れたモダンな作品など、制作の幅を広げています。
今展では、額賀さんの今までのシリーズから最新作までを二期に分けて展示します。
公益財団法人 常陽藝文センター
ある時は陶芸スキルを持ったデザイナーとして
そしてまたある時は職人として工房で汗をかいています
額賀章夫