江戸時代の常陸国(現在の茨城県)の海岸に、異国の女性が乗った円盤型の舟が漂着したという「うつろ舟奇談」は、空飛ぶ円盤説、養蚕信仰にまつわる金色姫伝説、「うつろ舟の番女」の題で『兎園小説』に紹介した滝沢馬琴の創作説など、さまざまに伝えられてきました。
漂流地にも諸説ありましたが、近年「神栖市波崎舎利浜」である説が強まりました。同市には天竺(インド)の姫が流れ着き、養蚕技術をもたらしたという「金色姫伝説」も伝わっており、「うつろ舟」をめぐる興味は尽きません。
今展では、江戸時代に起きたこの不思議な事件を文献史料等により紹介するほか、彫刻家・北沢努さん(水戸市在住)、陶芸家・田崎太郎さん(笠間市在住)らが「うつろ舟」をモチーフとした作品も展示します。