2023年は日本とベトナムの外交関係樹立50周年です。このことを機会として、ちひろ美術館コレクションのベトナムの画家、タ・ヒー・ロン『姫君と望遠鏡』を中心に赤道に近い熱帯の国々6ヵ国の作品を展示します。豊かな自然や地域独特のくらしのなかで描かれた、個性豊かな作品をお楽しみください。
ベトナムの絵本『姫君と望遠鏡』
ベトナムのイラストレーター、タ・ヒー・ロンが民話をもとに描いた絵本で、2009年野間国際絵本原画コンクール佳作に選ばれました。なんでも見える望遠鏡を持つ姫君。3日間見つからなければ姫君と結婚することができると知った王子は難題に挑戦します。ワシと空へ隠れても、ワニのおなかに隠れても姫君はすぐに王子を見つけます。王子の運命は? 動物や人の動きが、あたたかな色彩でユーモラスにいきいきと描かれています。
スリランカの絵本『かさどろぼう』
小さな村に住むおじさんが、町で初めて見た傘を村の人のために買って帰ります。しかしコーヒーを飲んでいる間に傘は盗まれてしまいました。犯人は一体何者なのでしょう? シビル・ウェッタシンハがつくったこの物語は、中国語や韓国語、スウェーデン語など世界各国で翻訳、出版されています。太い輪郭線や鮮やかな色、鷹揚でゆったりとした絵からは南の国の湿度の高い空気が感じられるようです。思わず笑みがこぼれる犯人も、熱帯の国だからこそ? ぜひご覧ください。