県立美術館は、まもなく開館10年目を迎えます。この間、国内外の優れた美術作品を収集展示し、多くの県民の皆さまに鑑賞していただきました。
この「コレクションの歩み展」は、これまでに収集した作品を県民の皆さまにご鑑賞いただき、コレクションの成果を問うものです。
本館の美術品の収集方針は、1.郷土出身作家及び本県にゆかりのある作品。2.わが国の美術の流れを展望するにふさわしい作品。3.海外のすぐれた作品。この三つを柱にしています。これまで、この方針にそって調査、研究を重ね、計画的に収集してきました。1.では山内多門、益田玉城、瑛九、山田新一、塩月桃甫などの作品。2.では川合玉堂、橋本雅邦、藤島武二、海老原喜之助、山口薫、靉嘔などの国内作家。3.では瑛九芸術の源泉をたどりながら20世紀を中心とした絵画の流れを展望できるように新印象派のシニャック、ナビ派のボナール、キュビスムのピカソ、フォーヴィスムのルオー、シュルレアリスムのマグリットやキリコなどの作品が収蔵されています。この他に彫刻においては20世紀イタリア彫刻に焦点を当てた収集を行い、特色ある充実したコレクションとなっています。屋外にもシュガーマンのカラフルな色で塗装された作品など、来館された方が親しまれるような作品を設置しました。
今回の展覧会では、多くの収集作品を、いくつかのテーマを設定し、小企画展の複合体という構成により紹介します。例えば、いつもは全てを見ることのできないマティスの版画集『ジャズ』やダリの『マルドールの歌』、ルオーの『ミセレーレ』などのセット作品を全て展示します。また、作品の鑑賞の手助けとなるように補助資料等を工夫して楽しく鑑賞できるように計画しています。美術館の展示スペースの全てを使って約500点を展示しますが、このような規模の展示は始めての試みで、迫力のある展覧会となることでしょう。どうぞこの機会に、ぜひご観覧ください。