美人画は日本独自の絵画分野として発展しました。源流は近世初期の風俗画といわれ、江戸時代は浮世絵などを通して親しまれ、明治時代末期から昭和にかけて流行しました。
培広庵(ばいこうあん)コレクションは、美人画隆盛期の作品が揃います。作者は、京都の上村松園(うえむらしょうえん)や菊池契月(きくちけいげつ)、東京の鏑木清方(かぶらききよかた)や伊東深水(いとうしんすい)、大阪の北野恒富(きたのつねとみ)や島成園(しませいえん)、そして竹久夢二(たけひさゆめじ)など、近現代画壇を代表する日本画家たちです。
本展は同コレクションを中心に、四季の情景とともに描いた美人画約70点を紹介します。桜を愛で、夕涼みに憩い、夜長の読書にもの思い、舞う雪に見入る…女性たちが時季ごとの風情を愉しむ姿は、日本人が抱く美意識そのものとも言えるでしょう。
日本の自然の彩りに、女性たちの華麗な装いや妖艶なしぐさに、心ときめく美人画の名品をどうぞご覧ください。