日本では戦国時代まで、一部の公家や上級の武家、寺社などで、身分や特権の正統性を主張するため、個人や集団の来歴を記した「由緒書」を作ることがありました。これらは、自家の由緒を他家に示すとともに、そのことを後世に伝えていく重要な記録だったのです。やがて、江戸時代になると、一般の武士だけでなく百姓や町人、職人たちなどの間でも、由緒書が作られていきました。
このことは、越中においても例外ではありません。武士たちが自らの戦功を子孫へ伝えるために書き遺したものや、主家に命じられて先祖の功績を書き上げたものなどが残されています。それらは、各家にとっての履歴書ともいえるでしょう。
本展では、江戸時代の越中ゆかりの武士たちが記した由緒書を主に取り上げます。彼らが誇る驚くべき血筋や知られざる武勇伝に注目してご覧ください。