2022年は、前衛集団「具体美術協会(具体)」を主導した吉原治良が没し、会が解散して50年という節目の年である。本展では、白髪一雄や田中敦子ら「具体」作家をはじめ、当館が開館から収集してきた戦後の前衛美術作家の作品を展観する。
「具体」は、1954年に吉原治良が中心となって関西芦屋で結成された、戦後を代表する美術団体で、アクションによる表現や、従来の画材などとは異なる素材を使用した作品の制作で知られる。とくに、フランス人美術批評家ミシェル・タピエとの交流により国内外で注目を浴びたことは、その後の日本美術のあり方にも大きく影響を与え、戦後美術の出発点として認知されてきた存在である。また、機関誌『具体』の発行や、タピエをはじめとする海外作家との交流などに見られるように、「具体」自身も積極的に自らの活動について、国際的に周知しようと努めてきた。こうした背景を踏まえ、本展では開館当初から収集してきた「具体」作品や、日本の前衛美術作品を展示する他、吉原が図版で目にしていたと思われるナウム・ガボ、「具体」の大阪拠点であるグタイピナコテカで展示があったフォンタナ、カポグロッシなどによる、同時代の西洋美術作品も並べ、戦後の日本において「国際性」がどのように意識されていたのかを探る。