雑賀清子(1933~2017)は和歌山県美浜町に生まれ、女子美術大学の洋画科を卒業後、ベルギーでステンドグラスの制作を学んで帰国しました。帰国後は主に郷里で制作と指導を行っていましたが、1980年代のはじめ頃から、およそ30年間にわたって田辺市中辺路町周辺でのスケッチを重ねてきました。雑賀がスケッチの対象としたのは自然であり、それも華やかに咲き誇る草木だけではなく、足下の小さな花や雑草がほとんどでした。それらの草花に、雑賀は自分自身の存在を重ね合わせながらスケッチしました。
雑賀のスケッチを通して、当地の自然の魅力を紹介するとともに、雑賀が注目したひたむきに生きる小さな存在と、それが放つ命の美しさをお伝えできればと思います。
併せて、雑賀と同じように身近な植物の観察を生涯にわたって重ねた和歌山県田辺市出身の近代の洋画家、原勝四郎(1886~1964)のスケッチと、花をモチーフとした油彩画の小品を紹介します。