日中戦争の開戦(1937年)から太平洋戦争の終結(1945年)にいたる戦時下の時代。日本全体の世相が戦時色に染まりゆくなか、美術の世界もその例外ではありませんでした。北海道の美術家たちも同様に、故郷を懐かしむ兵士に向けて北海道の風景画を献納し、また郷土部隊の存在を記録・報道するために戦地へと赴いています。
戦時下における全国各地の美術家たちの活動は、今日では多くの研究によって当時の状況が明らかになり、展覧会などで紹介されています。しかしながら、北海道における実態については、これまでほとんど研究や展示が行われてきませんでした。
本展は、北海道における戦時下の美術活動を対象とした、初めての網羅的研究(『北海道立美術館・芸術館紀要第31号』掲載)の成果として企画されるものです。美術家たちが戦地で何を見、何を表現したのか、当館で所蔵するスケッチや展覧会出品作、献納画などを中心にご紹介します。