明治以降における日本画家の活動拠点は、有力な美術学校が存在し優れた指導者が集まった東京と京都に多く二分されました。首都の東京に対し、都としての長い歴史を持つ京都の地で活躍した日本画家たちは、京都画壇の作家と呼ばれています。中でも京都生まれの画家竹内栖鳳は、粋で洒脱な作風を示した最も京都画壇らしい作家として知られ、栖鳳が主宰した画塾からは、上村松園、橋本関雪、小野竹喬、池田遙邨、徳岡神泉ら、大正・昭和の日本画壇を代表する作家をきら星のように輩出しました。
この展覧会では、京都画壇作家の体系的なコレクションで知られる京都国立近代美術館の所蔵品の中から、55作家、約70点の作品を選りすぐって展示します。竹内栖鳳、上村松園をはじめとする代表的作家の優美な作品を中心に、大正期に制作されたデカダン(退廃的)な作品、戦後に制作された前衛的な作品なども併せて紹介します。京都画壇夢の大集合とでもいうべき内容で、東洋美術の伝統を踏まえつつ、西洋美術の影響を受けながら多様に変化してきた京都・近代日本画の流れが概観できる展示構成となっています。ぜひこの機会に、才能にあふれ京都画壇に光彩を放った作家たちの美の世界を心ゆくまでご鑑賞ください。