the 3rd Area of “C”―3つめのミュージアム―
「the 3rd Area(3番目の場所)」には、館内の事業、外部の会場で行うアウトリーチ活動に続く3つめのミュージアムの活動の場(エリア)になるという思いをこめました。本展は、Webサイトを会場ととらえ、お使いの端末画面上で展示内容をご覧いただく形式の展覧会です。
原美樹子は1930年代のドイツ製のイコンタやローライの二眼カメラなど、古い時代に製造されたフィルムカメラを手に、スナップショットの手法を用いて写真作品を制作してきました。
「できるだけ、透明な存在になりたい」と口にする作家が紡ぎだすのは、私たちが日常の中で蓄積してきた記憶や身体感覚を翻弄する風景です。それは絶え間なく刻まれる営みの傍らで、ささやかに在り続ける、言葉に置き換え難い何かを示唆しているのかも知れません。
今回、原は自身の日常の一片でもあった市民ミュージアムを訪れ、人と物、空間とが交錯し過ぎゆく姿を写しとりました。写真のそこここから音色が生じ、幾重にも連なりあうかのように、かつて在ったもの、いつか存在するであろうものが分かちがたく響き合います。