“すぐそばにある、ささやかな”
こころに風を通す。体にみずをやる。光をあてる。
わたしたちに必要なもの。
落ち葉を踏み歩く。ざくざくと音と感触を楽しむ。
地面のみみずを見つけて、ゆっくりと動きを見送る。
「しってる? みみずって「大地の腸」って言われていてね、人間が土を耕すずっと前から、みみずが地球の土をつくってたんだって」
「へえ。みみずってすごいな。」
あっという間に日が暮れて夜になる。あたたかい毛布に包まれて眠る。
不思議な夢を見て、朝起きたら泣いていた。
誰かに伝えなきゃ、何かに残さなきゃ、それくらい深くて不思議で切ないそんな夢だったのに。昼になる頃には、そのことさえ忘れてしまっている。
日常で触れた、あらゆる感覚の残像や塵みたいなものが、少しずつイメージの部屋に降り積もっている。それを少しずつ描き出している。 さかいはるか