ゴジラは、戦後の日本を代表する映画の主役として、国内だけでなく世界中の人たちにも親しまれているキャラクターです。誕生以来、ゴジラはキャラクターグッズ、写真集をはじめ、最近では様々なゴジラ論も出回るほど、アニメやマンガ同様に日本の社会や文化に影響を与えています。
1954年、映画の作り手達はこの年に起こるビキニ環礁沖の水爆実験によって被爆した第五福竜丸事件をきっかけに、放射能によって古代の恐竜が甦るというストーリーを考えました。ゴジラは我々の生活や文化を驚かす恐怖の象徴として生み出されたのです。その後、時代は高度成長、宇宙開発、公害、バブル経済の崩壊からIT時代へと移り変わり、ゴジラはある時に地球を守る守護神として、またある時は子ども達のアイドルとして、時代とともにスクリーンに登場し続けました。
ゴジラの魅力は、ストーリーもさることながら、特殊撮影技術の素晴らしさにあります。プロデューサーをはじめ、監督、脚本家、特殊技術、特殊美術、造形作家らが一体となって作り上げるゴジラは、いわば総合芸術の一つと言えるでしょう。
本展では、戦後から現在に至る時代を通して、「ゴジラ」が社会の中でどのような変貌を遂げてきたのかを振り返るとともに、ゴジラ映画の魅力と日本人独特の怪獣の造形美を、シナリオ台本、関連ポスター、撮影用ゴジラ、特殊技術に使用された造形模型に映像を交え、さらに特技監督として活躍した福島県須賀川市出身の円谷英二にもスポットを当てながら紹介します。