岩手県二戸郡一戸町生まれの金子重正【かねこ しげまさ 1912(大正元)年-1982(昭和57)年】は、東京の美術学校在学中才能をみとめられ、童画作家として創作の世界へ入ります。
東京への空襲が激しくなり、1945(昭和20)年、二戸郡福岡町(現二戸市)へ疎開。戦後は貸本漫画や少年・少女向け雑誌の分野で多くの作品を発表しました(漫画は本名で発表されたほか、ペンネーム:関四郎、関しろ、せきしろ、忍一兵、しのぶいっぺい、忍みゆき、しのぶみゆきを名乗っています)。
1960年代、漫画発表の舞台が週刊・月刊誌に切り替わる頃からは二戸地方の民話や伝説を取材し、それを基にした油絵や切り絵を手掛けるようになりました。
当館では2009年に萬鉄五郎記念美術館(花巻市)と共同で展覧会「マンガ百花繚乱 いわての漫画家50の表現」を開催し、岩手にゆかりある漫画家の活動を紹介しました。
展覧会開催時は調査が至らず紹介することができませんでしたが、その後、岸丈夫【きし たけお 1909(明治42)年-不明/沢内村・現西和賀町出身】、内村幸助【うちむら こうすけ 1920(大正9)年-1989(平成元)年/盛岡市出身】そして金子重正と戦前から活動していた岩手出身の漫画家の存在がみえてきました。
本県の漫画家として最初期にあたる時期に活躍した金子重正の漫画作品を紹介すると共に、漫画だけでなく生涯を通じて取り組んだ文化芸術活動を振り返ります。
なお、本展は2020年4月~6月に開催の予定で告知等進めておりましたが、感染症拡大防止のための休館により開催中止となったものに、最新の調査を含め開催するものです。