国際アンデルセン賞は「子どもの本を通じての国際理解」を提唱するため1953年、国際児童図書評議会(呼称IBBY)によって創設された子どもの本の分野における最高の国際的な賞です。有名なデンマークの童話作家の名を冠したこの賞は、別名「子どもの本のノーベル賞」とも言われ、長らく子どもの本に関わり、子どもたちの心をひきつけ、楽しませる豊かさを持った作品を生み出してきた作者の全業績に対して与えられるもので、この国際アンデルセン賞の受賞は世界中の児童文学の質の向上にはかり知れない影響を与えています。
これまでに受賞した作家はエリナー・ファージョン「りんご畑のマーティン・ピピン」(岩波書店)、アストリッド・リンドグレン「長くつ下のピッピ」(岩波書店)、エーリッヒ・ケストナー「飛ぶ教室」(岩波書店)、トーベ・ヤンソン「たのしいムーミン一家」(講談社)、アロイス・カリジェ「ウルスリのすず」(岩波書店)、モーリス・センダック「かいじゅうたちのいるところ」(冨山房)など、いずれも世界トップクラスの子どもの本の作り手が並んでいます。そして、日本からも安野光雅「ふしぎなえ」(福音館書店)、赤羽末吉「スーホの白い馬」(福音館書店)、まど・みちお「ぞうさん」(福音館書店)の3氏がこの国際アンデルセン賞を受賞しています。今回の展覧会では、この国際アンデルセン賞のこれまでの受賞者44人の作品を一堂に集め、世界の子どもの本の歴史についてご紹介します。