福岡市美術館では、2019年リニューアル時に誕生したホワイトウォール(約3.14m×13m)を舞台とした、新たな企画展「ホワイトウォールプロジェクト」を実施します。これは3年に1度、気鋭のアーティスト1組に、壁面を用いた新作を依頼し、あわせて隣接する展示室(近現代美術室B)において、当該アーティストの個展を開催するものです。
シリーズ初回となる今回は、福岡市在住の画家・田中千智を紹介します。田中千智(1980年生まれ)は、2005年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業後、2006年より福岡を拠点に作家活動を開始しました。アクリル絵具を使ったフラットな漆黒の背景に、艶やかな油彩で前景を描くという独自の手法を開拓した田中の作品には、笑みとも怒りともとれる人物の表情、漆黒の中にきらめく風景など、相反する要素が組み合わされ、観る者に強い印象を与え、その想像力をかきたてます。多数の個展・グループ展のほか、書籍の装丁画、小学館新本社ビルの大作壁画など幅広い活動をおこない、いまや福岡を拠点とする作家の代表格のひとりとなっています。
本展では、田中千智の2008年から最新の作品まで約40点を展示するとともに、田中がホワイウォールを用いた壁画の制作をおこないます。壁画は、2023年1月末に第1段階が完成し、その後2024年1月、2025年1月に制作をおこない、第2段階、第3段階と画面が変化していく予定です。最終的には2025年12月末まで展示の予定です。ぜひご覧ください。