万葉文化館の館蔵品は、現代を代表する日本画家が『万葉集』に詠まれた和歌を題材として描いた「万葉日本画」一五四点からスタートしましたが、その後多くのご寄贈を受け、その規模を拡張してきました。本展覧会では、収蔵作品のなかでも風景画、特に大和の古寺や明日香の風景など奈良の情景を描いた作品を中心に展覧します。
日本画では、井上稔の楚々とした趣深い作品、烏頭尾精の澄んだ色彩で明日香を鳥瞰する作品、岡橋萬帆の複雑な色彩の重なりで古代大和の風景を心象的に描き出した作品等を中心にご紹介します。また、洋画では内藤定昭の油画や金森良泰のフレスコ画などもあります。
当館には絵画制作にあたっての素描や下絵も多数収蔵されています。日本画と洋画といった素材の比較や、作品の制作過程などに触れながら、万葉文化館の豊かなコレクションを堪能して頂けましたら幸いです。