インディアン・サマー
立花英久
夏のスキー場に行ったことがある。山の斜面は風が吹くと、ぶら下がったリフトが揺れていた。まわりにだれもいなかった。かわりに好きだった人たちに囲まれているのはわかった。そこに座っている人もいれば、立っている人もいた。しばらくホテルの赤い三角屋根をみんなと見下ろしていた。
うまくいっているのかい?
リフトのほうから声がして、みんながいっせいにわたしの顔を覗きこむようだった。わたしは答えなかった。
いまも答えを待っている。そんな顔をしている。わたしはそのことに気づいている。