「円」ときいて、まず思い浮かべるのは、永遠に続いてゆく穏やかな世界、それとも、見る人の目を惑わす力強い渦巻き模様でしょうか。穏やかに、美しく完結するイメージがある一方で、はじまりも終わりもない円環構造には、はかり知れない不気味さがあり、私たちを不安な気持ちにさせます。日常のあらゆる場面で目にする身近なかたち、表現者にとっては最も基本的な造形モチーフの1つでありながら、そこに様々な性格を見いだし、意味や象徴を担わせることができるのも、「円」の持つ魅力や面白さといえるでしょう。
本展覧会では、ほぼ同時開催の「藍と暮らす人々 トン族・ミャオ族・タイ族 太陽と聖霊の布 中国・東南アジア少数民族の染織」が、太陽紋や渦巻きが特徴的な中国少数民族の衣装を紹介するのに合わせて、当館の所蔵作品を中心に、「円」をテーマに6部構成の展示を行います。
小中学校の夏休みにあわせて開催されるこの展覧会は、美術館にあまり親しみのない若い来館者のための企画です。会期中、美術館と作品に親しむための様々な関連事業を行います。また、千葉市内の中学校と連携したプログラムにも取り組みます。