「逢魔が時」は現在の午後六時頃のことで、昔は「暮れ六つ」や「酉の刻」とも言っていました。昼から夜へと移り変わるこの時間帯から、妖怪や幽霊などが出現すると考えられ、魔に魅入られると恐れられてきました。
この境界がおぼろげとなる「逢魔が時」のように、暁斎は現実と異界、生と死、美と醜といった、本来は対立すると考えられているものを、ごく自然に共存させた作品をいくつも描き、人気を博しました。
本展では、暁斎が描いたさまざまな妖怪画をご鑑賞いただきます。怪しい中にも人間味を感じさせる、暁斎ならではの「妖怪変化」たちの世界をお楽しみいただければ幸いです。
令和4年11月2日 公益財団法人 河鍋暁斎記念美