釧路市出身の中江紀洋(なかえのりひろ)(1943~2021)は、釧路を拠点に精力的な活動を展開し、戦後北海道の彫刻界を牽引してきた作家の一人です。彼は1970年代に自然や人間、時や祈りなどをテーマとする作品を次々と発表し、有機的な形態による抽象的な木彫表現で注目を集めます。1990年代以降は、廃材を用いた構成的なインスタレーションに取り組み、晩年には風土表現の抽象化に挑むなど、生涯に渡って作品の規模と表現の領域を拡大する旺盛な制作活動を続けていきました。本展では中江氏の追悼展として、所蔵作品を中心に、彼が残した表現の輝きを紹介します。