本展では、人間の内なる問題を描き続けた大分市佐賀関出身の洋画家・平野遼(1927-92)を特集します。平野は、生まれて間もなく佐賀関から八幡市(現・北九州市)に移り住み北九州市を代表する画家となりますが、平野の両親は大分県由布川村(現・由布市)の出身であり、大分に縁のある作家の一人です。
幼少の頃から独学で絵を学び、太平洋戦争中から戦後の混乱期に生活が困窮する中でも情熱を持ち、絵を描き続けます。上京し、松本竣介(1912-48)や靉光(1907-46)の作品に感銘を受け、新制作派展や自由美術家協会等の全国公募団体展に出品を続け、糸園和三郎(1911-2001)や評論家の瀧口修造(1903-79)らの知己を得て、画家への道を歩みます。
自己の葛藤や人間の普遍的な内面を具象と抽象の両方から探りながら、独自の表現で描き続けた、初期の作品、自画像シリーズ、抽象画、群衆、モロッコシリーズといった画業の全容を当館のコレクションで紹介します。