いるのか...いないのか...。
目撃され記録された「不思議な存在」
―それが幻獣。
古来、日本ではたびたび「不思議な生物(幻獣)
」が人界に出現し、それにまつわる目撃談も数多く語られてきました。その代表的なものとしては、古くは鬼や天狗、河童、人魚、雷獣などであり、新しくはツチノコやヒバゴンなども挙げられるでしょう。かれらは、この世にいるのかいないのか、その存在が不確かなまま、「妖怪」であるとか「神仏のお使い」であるとか、あるいは「未知の生物」であるとかされてきました。
本企画展は、人々に目撃され記録されてきた不思議な存在を「幻獣」として集大成し、私たち日本人の精神文化の中に彼らがどう位置づけられるのかを探る試みです。江戸時代、疫病除けとして流布した幻獣の絵図や、幻獣出現を報じる瓦版、版本、明治の新聞錦絵などに記録された幻獣、ミイラなどの造形物、写真などを一堂に集め、幻獣の生まれてきた社会背景にも迫りたいと考えています。