「かご」は世界中にあり、私たちの身近なものとしても存在しています。この展覧会は「かご」を多様な視点から捉えようとするものです。展示ではインド、ボツワナ、スコットランド、日本からのかごに加え、現代の表現および民具としてのかごも展示されます。本展ではかごを通して地域の人々と、あるいはかごに関心のある人々との国際交流ももうひとつの大きな目的です。したがって開催期間中には海外よりかごの製作者たちが来館し、公開製作、講演会、レクチャー、ワークショップなどの多様なプログラムを実施します。 さて、この展覧会は各作家の4カ国を巡る「コンテインドスペース(CONTAINED SPACES the world at her fingertips)」展が中心となっています。これは企画者のPravina Khilnai King(プラヴィナ・キング/エジンバラ大学アフリカ研究所)が、Anna King(アナキング/スコットランド)、Gabatsholwe Ntwe(ガバチョルウェ・ントゥエ/ボツワナ)、Manimegalai Manickam(マニメガライ・マニカム/インド)、関島寿子(セキジマ・ヒサコ/日本)の4人の女性かご製作者を取り上げた国際巡回展です。スコットランドのグラスゴーで2004年5月に始まり、日本、インド、ボツワナを巡回します。 唯一の日本会場である平塚市美術館においては、日本のかごおよびかごの製作方法を用いた現代美術のボリュームを大幅に増やしました。山口紀子、上野正夫ら5名の作家を加え優れた現代日本の作品を紹介するとともに、民具としてかつて私たちの生活の中で作られ、使われてきた美しいかごも併せて展示します。 かごの基本的な構造は太古の昔から現代まで継承され、また、世界中に同じ構造のかごが存在しています。かごの構造に注目すれば、そうした時代や国を超えた共通性にも気付くでしょう。 かごの素材や構造について、伝統と現代について、生活と共にあるかごについて、芸術としてのかごについて、あるいは経済やジェンダーの問題からなど、多様な視点から「かご」を捉える本展を通して、私たちのかごを見る体験がいっそう豊かになることでしょう。