今年は明治最後の年である1912年から110年後にあたります。本展では、西洋諸国との関わりから、日本全体が大きく変容し、また自らの意識も外に向かっていくこの時代の日本の風景を、画家のまなざしがどの様にとらえたのか、コレクターである高野光正氏が海外で収集した200点を超える水彩画や油彩画によってご紹介します。
これらの中には、内子町出身の洋画家、中川八郎(1877~1922)の初期代表作《雪林帰牧》をはじめとした13点の作品が含まれています。没後100年の節目に、本展にあわせて当館の中川作品もコレクション展にて一挙公開し、改めてその魅力をお伝えします。
時代という逆らえないうねりの中で、画家たちが発見した風景は、目新しいものではなく、そこにあった日常の暮らしでした。それらは、コロナ禍において、改めてこれまでの暮らしを見つめ直している私たちの「いま」に重なるものもあるのではないでしょうか。110年前の日本の風景を、旅をする様に楽しんでいただければ幸いです。