1932(昭和7)年、岩手県雫石町に生まれた橋場あやは、岩手大学で美術を学び、卒業後は県内の中学校や高等学校で美術教師として勤務しながら、旺盛な制作活動を続けてきました。そこには子どもや家族をテーマに色彩豊かな独自世界が展開されています。さらに、彼女の周りにときおり現れる妖精たちは、グリーンチャイルドシリーズへと昇華されていきました。
一時期、ボールペンを一日一本使い切るという苦行にも似たドローイングに没頭し、あるときは木彫に打ち込むといった多様な表現世界を繰り広げてきました。さらに近年は、ドローンイグやペインティングに糸や布を縫い込み刺繍を施すといった感覚的な複合表現を試みています。
また彼女は長年障がい者の美術教育に携わり、県内の草分けとして知られています。心身に困難を抱えつつも鋭敏な感性を持つ彼らの芸術的才能を見出し、その活動の場を広げてきました。
本展覧会では、今年90歳となり益々意気盛んな橋場あやの最新作を中心に、表現者としてこれまでの歩みに加え、障がい者や創作仲間とのコラボレーション作品を紹介します。