例えばGoogle Mapは、データベース上で地図と写真を組み合わせることによって現実を拡張している。しかし、拡張された現実が実際の地形や物質に忠実かどうか、肉眼で確認することはできない。つまりGoogle Mapなどのスマートフォンの画面で見るような画像の地図は、人間の想像でしかない。
本作では、印刷した自身の皮膚の写真に、アセトンを主成分とした薬品をかけてインクを変質させる。変質したインクには溶解・剥落が起き、皮膚の図像とインクの変質によって現れた痕跡が多重に見える絵画となる。そしてその表面を、人間の目を超えたレベルで撮影し、変質したインクの様子を写真に写す。本展では、目では見えない事象を、想像ではない痕跡として地図のように目で追っていく。
自分の場所を認識するための皮膚の写真を変質させる。人間の目を超えたフォーカスで撮影することによって、目では見えない事象を、想像ではない痕跡として地図のように目で追っていく。